管理について


セントバーナードの出生時の体重は600g〜700gです。それが一年にもなると、約60kg以上になります。このように急激に成長していく犬種ですから、栄養のバランスのとれた高品質のドッグフードでなくてはなりません。スタンダードには、バランスを崩さない限り、大きいほど良いとされているせいか、飼い主は早く大きくしたくて、大量のドッグフードに他の食品をあれこれと添加しているようですが、かえって栄養のバランスがくずれ、内臓を悪くしたり成長期の骨格構成の妨げになったりします。成長期の肥満は大敵です。四肢の骨格が出来上がるまでの食事管理には、特に気をつけてください。この犬種は、成犬になっても一日の食事量を朝・夕二回に分けて与えた方が、胃に負担がかかりません。一度に大量のフードを食べ、お腹一杯に水を飲むことで胃捻転の事故が起こり易くなります。いつも「腹八分目」を念頭にいれて、良質のドッグフードと新鮮な水を忘れずに、日光と自然な風を体に浴びて、食事の後はゆっくりと睡眠をとる。これがセントバーナードを健康に飼育する秘訣の第一歩とも言えます。

運動

超大型犬であるセントバーナードは、めまぐるしい成長をとげますので、運動方法は、とても大切です。生後6ヶ月頃までは、骨格形成が不十分なため、スリップする場所を歩かせたり、高い所から飛び降りたりさせないように気をつけて下さい。幼犬の頃は、土の上での自由運動が一番適しています。4・5ヶ月になったら、リードに慣らす意味で、散歩に出ることは楽しいのですが、決して無理に走らせたり、長時間連れ歩くことは、かなりの負担がかかります。セントバーナードは、力持ちですから、引っ張られると、とうてい抑えられるものではありません。初めて、リードをつけた時から、飼い主の左側について、ゆっくり歩くことを教えてください。大きな体をゆさぶって、飼い主の歩調に合わせ楽しそうに散歩をしている姿は、なんとも、悠々としているものです。

犬舎

この犬種は、寒さには強いのですが、暑さには大変弱いので、犬舎には充分の配慮が必要です。犬が横になって、手足をゆったりとのばせるスペースがほしいものです。できるだけ天井は高くして、風通しをよくし、冬は日光が入り、夏は日陰になる南向きの犬舎が最適です。欲を言うならば、水道の蛇口と扇風機を設置すれば申し分ありません。
セントバーナードは、体重がありますので、隙間の小さい、木製のスノコを敷くことで座りダコも予防でき、その上、湿気も少なく快適な生活を、送ることができます。この犬種は熱射病の事故が大変多くみられます。高温多湿の夏期の対策には、万全の注意を期してください。このような事故を防ぐためにも、犬舎の設置は、飼い主の居住の側で、いつも犬の様子が観察でき、また犬側からも家族の顔がみられ、声をかけてもらえることは、犬にとって何よりも幸せなことです。

しつけ

セントバーナードは、巨大な体躯を持つ犬種なので、成犬になった時、絶対的に飼い主に従わせることが鉄則です。そのためには、仔犬の頃から人に触られることに慣らし、人と友好的に付き合えるように愛情深く育てていくことが必要です。優しい中にも厳格さを持ち、良し悪しをしっかりと教えることです。幼犬期には、力で屈伏させることは、避けてください。常に話しかけ、お互いの信頼感からなる主従の関係を作っていくことです。3ヶ月を過ぎる頃から、「マテ」を教えてください。犬にとって待つということは、一番辛いことなのですが、この「マテ」がすべてのしつけの基本になります。次に「コイ」も教えてください。どんなに遊びに夢中になっている時でも、飼い主が呼ぶと必ず側に来させることで、主従の関係をはっきりさせることになるのです。
この犬種はペットという考え方で接するのではなく、最愛のパートナーとして犬の存在を認めることで、主人に対して益々の信頼を深めていくことでしよう。


追記
“管理について”は、筆者独自の経験からくる考え方でありますからセントバーナード全体に必ずしも適応するものではありません。尚、この文は“愛犬の友1996・9月号”(セントバーナード特集)に筆者が掲載したものです。